2022年1月に特許を取得しました、原石採取・骨材製造最適化システム「G-MOS」。
今回はG-MOSの活用シーンについてと、構成するシステムについてお話できればと思います。
G-MOSは骨材製造における原石サイズのAI判別を軸に、原石採取・骨材製造・流通、全ての工程のデジタル化を目指すシステムです。
Gravel(砂利)
Manufacturing(製造)
Optimize(最適化)
System(システム)
の頭文字をとって、命名しました。
システムの基本は、原石サイズのデータベースです。砕石機に投入される段階の原石サイズを数値で判別・データベース化し、製造工程における全体最適に活用することができます。
原石投入口にカメラを設置し、投入される原石一つひとつの表面積をAIで数値化します。数値化した面積は、タイムスタンプと共に記録。「原石サイズのデータベース」として活用されます。
G-MOSの「原石サイズのデータベース」は骨材製造工程の様々なシーンで活用されます。
・原石採取箇所の最適化
・製造効率を高める原石積載状態の最適化
・最適な原石採取工区の予測
・破砕機の安定稼働とメンテナンスコスト抑制
それぞれについて解説していきます。
・原石採取箇所の最適化
G-MOSは原石採取現場でも利用することが可能です。破砕機に投入される原石の状態及び破砕機の負荷を採取現場担当の携帯端末や、管理事務所のPCで確認できます。
破砕機の稼働状態を把握することで、骨材製造に適した原石採取を促すことができ、量だけでなく質にこだわった原石採取を実現。原石採取段階からの骨材製造の最適化を目指します。
・製造効率を高める原石積載状態の最適化
G-MOSを原石採取現場で活用することで、製造効率を重んじた原石の積載が可能となります。
製造効率を重視した原石採取を実現するためには、「製造効率が高い採取箇所の選択」が必要です。G-MOSのデータを元に骨材製造に適さない原石採取箇所を避け、骨材製造に適したエリアを優先し、原石採取を進めることが可能に。
製造効率の高い原石を多く積載することで骨材製造に適した原石の積載効率を高め、輸送コストの抑制を図ると同時に、CO2の削減をも実現させます。
・最適な原石採取工区の予測
G-MOSの「原石サイズデータベース」には、工区の位置データも結合可能です。
様々な工区の位置データと採取する原石の傾向を組み合わせることで、地域ごとの原石傾向を明らかにし、原石採取に適した地域を予測することが可能となります。
・破砕機の安定稼働とメンテナンスコスト抑制
破砕機の負荷が高まる原石サイズを予め登録しておくことで、AIが原石サイズを判別し、破砕機の負荷が高まるまえにアラートを発信します。
このアラートは骨材工場の管理センターや操作室だけでなく、採取現場にもリアルタイムで共有されます。操作室や事務所などではアラートにあわせ、破砕機の負荷軽減の調整を進めることが可能に。
また、原石採取の現場では原石採取箇所の変更を行い、投入原石の粒度のバラつきが平準化されることで、破砕機の安定稼働を実現します。
破砕機の安定稼働を推進することで、メンテナンスコストの抑制と共に、稼働期間の伸長を図ることができます。
【G-MOSの機能】
● 原石サイズ判別AI
– 破砕機に投入されるまでの原石のサイズをAIで判別
– 判別された原石サイズは、タイムスタンプと共に原石サイズデータベースに記録
● 原石サイズデータベース
– AIで判別された原石サイズをタイムスタンプと共に記録
– 原石サイズデータベースではタイムスタンプを軸に様々な情報と拡張連携を図る
● 破砕機負荷アラート
– 原石サイズデータベース記録された原石に大きいサイズの原石が一定割合を超えるとアラートを発信
– アラートにあわせ原石の投入状態を調整することで、破砕機の負荷を軽減し、メンテナンスコストの抑制を図る
– 破砕機負荷アラートを原石採取現場で受信することで、原石採取箇所の変更を図り、製造効率の高い原石採取と積載・輸送を実現
また、拡張機能として、以下の機能を利用することが可能です。
● 原石採取箇所の評価
– 原石サイズデータベースのタイムスタンプと原石採取箇所の位置データを連携することで、原石採取箇所の評価が可能に
– 原石採取箇所の評価に基づき原石採取箇所を調整することで、製造効率の高い原石採取を実現
● 原石採取工区の予測
– 原石サイズデータベースのタイムスタンプ・原石採取箇所の位置データ、さらに地質情報データベースの情報を連携させることで、位置・地質・実績をもとに工区の原石状況を事前に予測することが可能に
– 採取前の段階で工区の原石状況を把握することで、原石採取全体の効率向上を目指す
【G-MOSの導入】
G-MOSをご利用いただくには、大きく以下の3つでご利用いただくことが出来ます
●ネットワークカメラ
市販のネットワークカメラで十分に対応が可能
破砕機の周辺に設置するため、防塵・防水性の高い機器を推奨
● ハードウェア
エッジデバイスの利用を推奨
(エッジデバイスであればG-MOSに特化して利用できるため、他の業務への影響が少なく、また運用上のトラブルも軽減できると考えております。もちろん、操作室や事務所で利用されているPCにG-MOSをインストールし、ご利用いただくことも可能です。)
● ネット環境、電源
ネットワークカメラやハードウェアの電源、各種のデータ連携を図るためのネットワーク
原石サイズデータベースはクラウドでサービスを提供いたしますので、大きなシステムを構築せずにご利用いただくことが可能です。
また、ヤマサではG-MOSの導入支援及び、原石サイズデータベースクラウド提供を予定しております。
現在は実証実験を実施中です。詳細は決定次第発表させていただきます。
ヤマサは骨材製造をはじめとする建設資材事業の他にも、食糧事業や燃料事業など地域に根差した様々な事業を展開しております。
これらの事業の歴史は古く、地域の皆様にご愛顧をいただいてまいりました。
このため、古くからのやり方を踏襲していることが多く、それゆえにデジタルの活用が遅れていたことも事実です。
逆に言えば、デジタルを活用することで、事業の利益を高め、より良いサービスとして発展させる事も可能です。
日々の業務の中では見落としてしまいがちな事柄を意識的に見直し、改善する課題を抽出。
抽出した課題を「無理だから・いつもこうやっているから」とあきらめずにデジタルを活用することも視野に入れながら、より良いサービスを提供していきます。